キャリアコンサルタントとは、人の幸せを願い、よりよい生き方・働き方を実現するためのアドバイスや指導を行う専門家。平均寿命が延び、人生の多様性や可能性が広がり続ける現代において、ますます注目を集めている職業のひとつです。とはいえ、コンサルタントと聞くと、どんな仕事をしているのかが分かりづらい、なんとなく身構えてしまう…という声も少なくありません。今回は、今後ますます必要とされるキャリアコンサルタントについて、ご紹介いたします。
目次
• キャリアコンサルタントって、どんな仕事?
• キャリアコンサルタントが活躍する背景
• キャリアコンサルタントに必要なスキル、心構え
キャリアコンサルタントって、どんな仕事?
キャリアコンサルタント(以下「キャリコン」と表記)の使命は、よりよい生き方とはどういうものかを常に自分に問いながら、人の幸せを願うこと。人生の中で特に大きな割合を占める仕事を通して、どう成長したいのか、どう活躍したいのか、どう生きたいのかを思い描くことから、キャリアのデザインは始まります。
キャリコンが特に活躍する現場は主に3方向。未来を見つめ、自分らしい生き方を模索し、その選択肢のひとつである進路や就職について考え、時には思い悩む人々をサポートするのが仕事です。
• ハローワークで、主に仕事を探している人と企業(仕事)のマッチングを行う。
• 大学や専門学校等のキャリアセンターで、学生の就職や進路の相談に応じる。
• 企業で、従業員のキャリア形成を目的として、キャリアプランの相談に乗ったり、経営者およびライン管理職など組織に対して、組織運営の改善、環境制度への改善などをアドバイスしながら、社員の自律を促す。
キャリコンは、2016年4月から国家資格となりました。キャリコンになるためには、学科試験と実技試験を伴う「キャリアコンサルタント試験」に合格する必要があります。また、キャリコンを名乗るためには国の「キャリアコンサルタント名簿」への登録を行い、5年ごとに更新して、常に最新の知識や技能を身につけておくことも不可欠。これは、相談者にとっても、キャリコンとして活動する側にとっても安心できる仕組みです。
キャリアコンサルタントが活躍する背景
今や、人生100年時代。人材マネジメント論の世界的権威で、『LIFE SHIFT―100年時代の人生戦略』を執筆したリンダ・グラットン教授が提唱した「人生100年時代」という言葉を、あちこちで耳にするようになりました。
長寿化は確実に進行し、仕事に励み、引退して余生を楽しむ時代は終わり、70代・80代まで、または一生働くことが当たり前の世の中に。これからの長い人生を颯爽と歩み続けるには、世間の既成概念や思い込みにとらわれず、時代や状況の変化に反応すること、新しい知識やスキル、経験を自ら身につけようとする心構えも必要です。
2019年から、日本では「働き方改革関連法」が順次施行されています。厚生労働省の定義によると、働く人々がそれぞれの事情に応じた、多様で柔軟な働き方を自分の意思で選択できるようにするのが「働き方改革」。今後、よりよい働き方を推進するキーマンとして、キャリコンが活躍する舞台はさらに増えていくことでしょう。
キャリアコンサルタントに必要なスキル、心構え
日本では、キャリアという言葉が就職や仕事の成果を示すものとして扱われがちです。けれど本当は、働くことにまつわる過程を含む〈生き方〉全体を示すもの。キャリアを重ねるということは人生の経験を積むということであり、仕事をする上で欠かせない知識や技術、経験はもちろん、人間力を磨いていくことに他なりません。
キャリコンに求められるのは、専門的な知識の他に、時代や社会を的確にとらえる視点、情報を取捨選択する判断力、クールであたたかい客観性、常に成長しようとする向上力、思いやりや好奇心。こう書くと少々大変そうですが、どんな仕事をする上でも、どんな人にとっても挑戦に値するポイントばかり。人間力を磨き続ける姿、よりよい生き方を体現しようとする覚悟こそが、キャリコンがそなえておきたい特性であり、自分ならではの武器になるのではないでしょうか。