キャリアBASEから2020年3月、新たなプロジェクトが誕生した。その名も「キャリコン革命」。キャリアコンサルタントが駐屯してアイデアを出し合い、ビジネスプランを立て、協業していく次世代型集団を生み出そうという取り組みだ。その志に共鳴して「1期生」として集まったのは、職歴も世代もさまざまな方々。自律的に専門家として活躍できるキャリアコンサルタントを目指す面々の横顔を紹介する。
目次
• 一人一人に真摯に向き合いたい
• 当事者の一人として再就職支援を
• 定年後のキャリアをどう描くのか
一人一人に真摯に向き合いたい
人材派遣会社でコーディネーターをしている福田恭代(ふくだ・やすよ)さんは、将来的にはキャリアコンサルタントとして独立したいと考えている。「でも今の仕事を続けながら、どこから始めていいのかわからなくて。そんなときキャリコン革命のことを知ったんです」と参加動機を語る。
福田さんが国家資格を取ったのは一昨年のこと。まだ、キャリアコンサルタントとして本格的な活動を始めているわけではないものの、人材派遣業という仕事柄、資格のために勉強したことが実地で役立っている実感がある。「私がご支援させていただく方は、それぞれにさまざまな課題を抱えておられます。まずは傾聴する姿勢が欠かせません。試験勉強で傾聴の意義をあらためて学んだことが、今の仕事にも生きていますね」
人材業界で働いて8年。しっかりと実績を積み、仕事にはやりがいを覚えている福田さんだが、多少のジレンマも感じるようになった。担当業務を「こなす」ため、相談対応する方と話す時間が限られている点だ。もっと一人一人と真摯に向き合う姿勢を大切にしたい。そんな思いが強くなってきたという。そこで、将来的な独立を視野に、「キャリコン革命」の仲間入りを果たしたわけだ。
「ほかのメンバーの方とはお会いしたばかりですが、志が重なる部分が多いので、親近感がわきますね。一緒にがんばって、何かしら形にできればと思っています」
当事者の一人として再就職支援を
区役所勤務の田窪早織(たくぼ・さおり)さんは、先に資格を取っていた妹さんの勧めで受験を決め、2019年夏に実施された第12回の試験に見事合格した。「私にとって試験勉強は結構たいへんでした!」と振り返る。
田窪さんがイメージするキャリアコンサルタントとしての働き方は、主に40〜50歳代に向けた再就職支援だ。「自分の周囲を見回すだけでも、子育てや介護と仕事の両立に悩んでいる方が大勢います。うまく両立できずに離職せざるを得ないという話も聞きます。そうした方が再び働けるようになるためのお手伝いができたらと考えています」
実は、田窪さん自身も子育てが一段落し、これからのキャリアを考え直そうとしている一人だ。今はまだ大丈夫だというが、この先いつ、親御さんに介護が必要になるか分からない。その前に一足早く、「第二の人生」に向けた舵を切っておきたい。これまでの公私にわたる経験を今後のキャリアにどう生かせばいいのか? キャリコン革命に参加した背景には、その方向性を見定めたいという思いがある。
「学生のキャリア支援にも興味があるんですが、やっぱり世代が近い方の課題のほうが自分ごととして向き合えそうな気がしています。いずれにしても、今まで経験してこなかった分野への挑戦ですから、キャリコン革命で手がかりをつかみたいですね」
定年後のキャリアをどう描くのか
定年退職後の働き方を模索するうち、キャリアコンサルタントという仕事に出会ったのが土橋晴行(つちはし・はるゆき)さんだ。長らくコンピュータ業界で働き、ここ数年は法人サポート業務に従事してきた。部門の半数ほどは定年後に再雇用で働くベテラン世代だが、そうした先輩社員とは別の道を歩もうと土橋さんは考えている。
定年まであと3年というタイミングで、資格習得を目指す人には勤務先から資金サポートを得られることになった。そこで「補助が出るなら」と軽い気持ちでキャリアコンサルタントの試験勉強を開始した。「どうせすぐには合格しないだろうから、けっきょく定年まで働くかもな」と思っていたが、予想に反して2回目の挑戦で合格。さて、これからどうしようかと、近い将来の身の振り方を考えているところだ。
「今後のプランはまだ白紙」という土橋さんだが、1つだけ決めていることがある。お金のためだけに働くのはもう十分だ、という思いだ。その背景には、縁あってかかわったボランティア活動がある。心臓移植が必要な子どものために、3億円の寄付を募るキャンペーンだった。立派な肩書で経済的な余裕があっても、まったく関心を示さない人を見て、「人生で大切なのは、金を稼ぐことじゃないな」と感じたという。自身が依って立つべき価値観を心に問いかけながら、土橋さんは自分らしいキャリアコンサルタントの姿を模索し始めたところだ。
以上、「キャリコン革命」1期生のうち3名の方に、キャリアコンサルタントを目指した経緯や今後の抱負を伺った。このプロジェクトが進行するなかで、彼らがどのような変化や成長を遂げるのか? 今後のレポートに乞うご期待!