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「食える」キャリコンに必要なブランディング

キャリコンの国家資格を取ったはいいけれど、実はほとんど仕事がない…。そんな人が意外と多いのではないだろうか。そこで誕生したのがキャリコンの学習と実践の場である「キャリアBASE」。本格始動の第一弾として2020年2月15日(土)に開かれた「キャリコンのためのキャリアデザインセミナー」から、キャリコンに必要なブランディングの肝をお伝えする。

目次
•  大事な局面で思い出してもらえるか?
•  自分の「売り」の見つけ方
• キャリコンのポテンシャルは無限大
•  追い風を生かして一歩を踏み出そう

大事な局面で思い出してもらえるか?

「食えるキャリコンになるためには、まずブランディングが必要です」。

講師を務める須田万里子さんは開口一番こう切り出した。ブランディングがしっかりできていれば、キャリア上でふと迷ったときに「そうだ、◯◯さんに相談してみよう」と思い出してもらえる。例えば、「丈夫な高級バッグといえばやっぱりヴィトン!」といった具合だ。

決してやさしくはない国家資格を取ったのは確かに立派だ。努力の賜物でもあり、頑張った!という自負もあるだろう。でも、世の中にキャリコンの資格を持った人は5万人もいることも忘れてはいけない。数多いるキャリコンのなかで、ほかの誰でもなく、「◯◯さんに相談したい」と真っ先に思い浮かべてもらえることが重要だと須田さんは力説する。

須田さん自身は、25年にわたる人材派遣会社での経験を経て、今から12年前に独立した。まだキャリコンが国家資格になる前のことだ。2009年に「国歌資格2級キャリアコンサルティング技能士」を取得し、現在は大学のキャリア教育や就職支援、公的支援機関でのセミナー講師やカウンセリング、企業内における人間関係調整のためのキャリアコンサルティングやセミナーなどで活躍中だ。
「今でこそ忙しくしていますが、独立当初は食えなかった。数えきれない失敗も重ねてきました。同じような思いを皆さんにしてほしくない。それがキャリアBASEを作った原動力です」

自分の「売り」の見つけ方

ブランディングのために必要なことは何か。まず「自分の売り」を見つけることだという。ここで気をつけたいのは、「自分は何をやりたいか」ではなく「自分にできることは何か」を考えることだ。もちろん大前提として、クライアントが何を求めているかを知る必要がある。須田さんはよく、何かの縁で知り合った人に、「いま、どんなことでお困りですか?」と聞くようにしているという。そうやって常に市場ニーズにアンテナを高く張りながら、そのニーズに対して自分がどんな価値を提供できるのかを考えているのだ。

さらにライバルの多いレッドオーシャンで勝負しようとしても価格競争に飲み込まれてしまう。ニーズがあり、自分にできて、かつライバルにはできない領域。そこが自分の本当の「売り」になるはずだ。

もっとも、自分の強みは案外わかりにくい。そこでこのセミナーでは、グループワークを通して自分の強みを発見する時間を設けた。なぜキャリコンを目指したのか?キャリコンとしての武器やリソースは何か?これまでのライフキャリアを振り返り、あらためて自分自身を見つめ直す作業だ。

ワークの始まりに際して、「褒め合うだけにならないように!」と須田さんは釘を刺す。「いまは自分の特徴をあぶり出す時間です。あえて自分の弱みも見せながら、それぞれが自分について知るための対話をしてください」

須田さんがこう言うのには理由(わけ)がある。常日頃から「お勉強」ばかりでは意味がないと思っているのだ。「活躍の現場を作れない人のなかには、似たような仲間で集まって『勉強会』に熱心な人も多い。お勉強好きが高じて1級や公認心理師を目指したりもする。『スキルアップ』も悪くありませんが、本当に必要なのは仕事につなげる『ノウハウ』です。実は、自分のキャリアをしっかりデザインできないキャリコンが少なくないんです」

キャリコンのポテンシャルは無限大

そもそもキャリコンの活躍の舞台はどんなところにあるのだろう? 大別すると3つの領域がある。

1つはハローワークに代表される公的な就労支援機関だ。生活困窮者向けの相談所や福祉事務所でも、キャリコンが求められる場面がある。機関によって相談者が抱える課題やその支援方法はさまざまで、場合によっては福祉に関する知識やスキルが必要なこともある。

2つめは大学など教育機関のキャリアセンターだ。そこでは、「キャリア教育」といった授業を受け持つ教員や、就職課の職員、各種派遣会社から派遣されている相談員など、さまざまな立場の人と協力し合いながら、学生生活の悩みや進路選びをサポートすることになる。

3つめに企業内に設置された「キャリア相談室」の類だ。従業員のキャリア形成や能力開発などの相談に乗る機関で、比較的ゆとりのある大企業に設置されていることが多い。産業医や社労士、中小企業診断士などとも重なる領域だ。こうした現場は、ときに彼らとうまく棲み分けしながら、もしくはときにライバルとして働くことになる。

どうだろう? ひと口にキャリコンといっても、現場によってニーズも求められるソリューションも実に多様なことがわかるだろう。須田さんも「もともと1つの資格で括ることに無理がある」と言うほど幅広い領域を扱うのがキャリコンだ。それだけに、自分はどんな分野で、誰をターゲットに、どんな働き方をしていきたいのか? そこを見極めてしっかりブランディングできなければ、キャリコンという資格の持つポテンシャルを生かすことができない。実にもったいない話だ。

追い風を生かして一歩を踏み出そう

ここ数年、キャリコンの必要性にようやく社会が気づき始めた。須田さんはそう感じている。「臨床心理士などと比べて、キャリコンの認知度は長い間いまひとつでした。でも最近、働き方改革とか人生100年時代とか言われていることもあり、キャリコンにとっては追い風が吹いている。ニーズがあるところに食い込めば、必ずチャンスはあります」

須田さんが「キャリアBASE」で実現したいことは、キャリコンやキャリコンを目指す人が、自律的な専門家として活躍するために、とにかく一歩を踏み出すこと。「起業家スクールのようなところに行っても、行動を起こすのは100人のうち10人いればいいほう。さらに継続できるのはそのうちの1人と言われます。私はもっと多くの人に活躍してほしい」。そのために必要な起業家精神や実践スキルを、「キャリアBASE」に集う仲間たちで切磋琢磨していきたい考えだ。

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